他人を受け入れない親とは?

他人を受け入れない親

最初にも述べたように、医師の注意よりも自分の趣向を優先してしまう母親は救急車で搬送される当日までタバコを手放さず、吸い続けていました。あまり栄養の無い食事を取り続け、結果的動けなくなってしまったのですが、市の民生委員が来てもあまり相手にならずにいたようです。

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ある時期までは自分の親は特殊な存在だと思ってもいましたが、知り合いの中にも身内以外は受け入れない人が結構居るものです。自分の親については、非常に人の選り好みが若い頃から強くて、お前は誰とでも付き合うと私自身は親から怒られたものです。そのような人を差別してしまう親の意識に不快感と反発を覚えていました。

母親の場合、70歳を過ぎた辺りでも介護認定をして、ヘルパーさんに助けて貰えたと思います。一方では他人が自分の家に入る事を非常に嫌がりますので難しかったとも思えます。この問題は自分の母親のみならず、知り合いの何人もが抱えているようで、毎日実家に通って朝から親が寝るまで面倒を診ているという知り合いや、片道数時間掛けて週の大半を親の実家で過ごしているという大変な話を聞きます。
 
東京はスペースが無いので、一緒に同居して面倒を診るという事自体が物理的に無理なケースが多いのですが、地方では住宅事情がそれなりに十分なので、家に親を引き取って面倒を診る事が多いようです。これはある意味羨ましくもあり、義理の親の面倒を診なくてはならなくなったお嫁さんとかは大変だろうと思います。
 

家族の危機

知り合いのケースは同居されているご主人の母親が親が寝たきりになってしまい、更に痴呆も発症してしまいましたが、ご主人は自宅で母親の世話をする事を自分の信念としたところ、結果的に家族との関係が悪化してしまい、家族関係が崩壊に近くなってしまったというケースがあります。
自分にとっては新しい家族も大切ですが、親も大切です。結婚してからは親と別居というケースでも、介護を切っ掛けに親との距離を縮めなくてはならなくなり、それが理由で今までとは違った家族関係になってしまうケースが多いと思います。男性の場合は50歳前後なら多くが仕事を持っていますから、会社へ行っている間は妻や子供に親の面倒を任せるケースもあると思います。
 
親が介護施設に入っていたとしても、私の母親のように施設で転倒して骨折し、入院などという場合は呼び出されます。夫側の親だとしても、仕事で身動き出来なければ、代わりの家族が入院や手術の手続きに出掛けなくてはならなくなります。自分の楽しみに予定外の用事が出来てしまうのは仕方が無いと言えばそれまでですが、度重なると嬉しいことでは無いと思います。
 
自宅で介護をしていれば、家族が一緒に旅行をするのは不可能になります。母親が寝たきりになってしまった知り合いのケースでは、お子さんが小学生二人と中学生一人でしたので、家族で旅行に行く事が大切な時期だったと思います。それが全く出来なくなってしまった事はショックだったかもしれません。
 
介護の問題はそれに関わる人々の生活スタイルを大きく変化させてしまう問題だと言えます。当然より良い変化では無く、マイナス面の変化の方が大きくなります。この変化を乗り越えるためには、柔軟な思考や強い精神力、そして開き直る気持ちも必要かもしれません。知り合いのそれぞれの介護を見聞きしていますと、お金があれば楽などという物では絶対にありません。
 
誰もがそれなりに大変で苦労する問題だと考えて、親にとって、家族にとって、そして自分にとって何がより良いのか試行錯誤して、公私共に助けて貰える部分は感謝しつつお願いして乗り越えて行きたい物だと思います。今、自分の親についての介護は終わりましたが、義理の親の問題、そして将来は自分や自分の家族にも訪れる大切な問題だという自覚を、より深めたいと考えております。