帯状疱疹は怖い
1980年ぐらいまでは薬も無かったようで、我慢するしか無い病気だったそうですが、現在は特効薬がありますので、迷わず皮膚科を受診しましょう。「帯状疱疹(ヘルペス)」は父親のように痛みからスタートする場合もありますが、痒みを伴う場合もあります。痛みを伴うと外科や整骨に駆けこみそうですが、皮膚科で「帯状疱疹(ヘルペス)」だと早目に分かれば父親は片足が不自由にならずに済んだのかもしれません。帯状疱疹は皮膚科の医師には分かりやすい症状ですが、他の診療科目の医師には分かり難い症状だと知りました。
父親は足が動かなくなって、救急車を自分で呼んで入院した訳ですが既に腰から下の重要な神経は「帯状疱疹(ヘルペス)」の菌によって破損し、治療はリハビリだけになっていました。最初に入院した病院では一ヶ月足らずで治療がそれ以上は不可能となりました。外科や神経科があってもリハビリを続けてくれる病院は少なく、その後は少々遠いリハビリを専門とする病院に転院しました。
リハビリという治療
その後は数ヶ月に渡りリハビリを受けましたが、やはり完全に歩けるようにはなりません。一度損傷した神経は元には戻りませんので、他の神経が代役を果たすように仕向けるのがリハビリの治療です。
人間の体は非常に優れていて、駄目になった神経の代役を果たす神経を脳が見つけて代役を務めるような命令を送るのです。ただ勝手にそうなる訳では無く、代役を務める神経組織を意図的に刺激する必要があるようで、その刺激がリハビリです。より効率が良い刺激の方法を模索するのがリハビリ医の仕事になる訳です。
リハビリ治療を続ける事で父親の足の麻痺の範囲は狭くはなりましたが、完全に元に戻るほどに狭い範囲の麻痺では無く、役目を補う適当な神経が無い部分には麻痺は残ります。リハビリのような治療は父親の世代には治療に思えないようで、治療はして貰えなかったと思い込んでいたようです。
見えない帯状疱疹
「帯状疱疹(ヘルペス)」についての経験が多い医師は痛みの出方などから「帯状疱疹(ヘルペス)」では無いかと疑うようですが、経験が少ないと単なる神経痛にされてしまうので、重症化した時には神経の多くがやられてしまって手遅れになるそうです。
「帯状疱疹(ヘルペス)」は通常は顔や背中とかお腹の周囲等が多いのですが、稀に足の裏とかもあるそうです。あらゆる場所に出る可能性がありますので、覚えが無いのに突然に痛みに襲われた等という場合は皮膚科も受診し、痛みの状況を可能な限り医師に正確に伝えるようにしましょう。順序としては整形外科を受診して、理由が良く分からないようなら皮膚科に駆け込んでください。皮膚科で「帯状疱疹(ヘルペス)」の疑いがあるとなりますと、組織を取って検査する場合もありますが、発疹が出ないと血液検査で抗体を調べる事になるそうです。
神経は再生できない
筋肉も再生医療の現場では徐々に可能性が広がっているようですが、切れてしまった神経は未だに無理なのです。帯状疱疹そのもののが怖い理由の一つは、再生しない神経を麻痺させてしまう可能性が高いという事にこそあると言えます。
父親ぐらいの年齢になるとこの問題が理解できず、最初はイライラが募り、直す方法を探しまわったようです。高価な入浴剤を購入したりと、それを知ったケースワーカーさんがわざわざ知らせてくれました。父親の場合、お腹の周辺からの半身が帯状疱疹で麻痺したために、排泄機能も同時に退化してしまいました。簡単に言えば便秘も酷くなった訳です。トイレはウォシュレットで刺激をしてやっと出来るようになったりと、深刻な状態です。
足はリハビリにより、破壊されていない神経が補うようになり、徐々にではありましたが多少動くようになり、不安定ではあっても、何とか松葉杖を使う事や伝え歩きによって立った状態での歩行も多少は出来るようになりました。しかし、排泄等のように、リハビリが出来ない部分の麻痺は全く治りませんので、生活の不自由さは解消されません。